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「少年少女 世界の名作文学」読書ノート

(バックナンバー5)

 

 「少年少女 世界の名作文学」読書ノート 
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  第5回配本 アルフォンス・ドーデの  『タルタラン・シリーズ』
                                     2004.02.08

 USO SAKAIです。
 色々と重なり、発行を2回できませんでした。
 発行を休んでいる間に年を越し、今回が今年最初の発行です。
 遅くなりましたが、今年もよろしくお願いします。

 ◇ ◇ 書誌的事項 ◇◇ ◇

 少年少女世界名作文学全集48
   愉快なタルタラン
     アルフォンス・ドーデ 原作
           新庄嘉章 訳
         木下よしひさ 絵
        1963年11月28日 発行


◇ ◇◇ ◇◇ ◇◇ ◇◇ ◇

 今回、特別編として、同じ小学館から出ていた
「少年少女世界名作文学全集」
から、第48巻『愉快なタルタラン』を取り上げます。

 このシリーズについても、覚えておられる方はいらっしゃるでしょうか。
 文庫本を少し大きくしたサイズで、小さい字で2段組みの本で、全56巻
 その当時ですら、かなり古い本だというイメージで見ていました。
 私としては、「少年少女世界の名作文学」(全30巻に縮小編集された版でした)と
国土社の名作全集と並んで、分厚くて字が小さい読みごたえあるシリーズだったのです。
(といっても、ほとんど読みませんでしたが。)


 前回、『飛ぶ教室』を、小学生時代にこのシリーズで読んだ、と書きました。
        http://usosakai.cool.ne.jp/mmm004.html
 目録を見ると、第50巻で、高橋健二の訳ですね。

 このシリーズで印象に残っていたのは、何と言ってもドーデの『愉快なタルタラン』
 これも小学3、4年の頃読み、卒業前にもう一度借りた覚えがあります。

 その後もずっと気になっていて、図書館やインターネットでで検索していたので
すが、今回ようやくキララ文庫さんで見つけ、購入したものです。
 ずっと読みたかった本だったため、待ちきれなくなって読み、今回この本をレポ
ートします。

 アルフォンス・ドーデの「タルタラン・シリーズ」の知名度はどれくらいなので
しょうか。

『タルタラン・ド・タラスコンの大冒険』(1872年)
『アルプスのタルタラン』(1885年)
『タラスコン港』(1890年)

の3作があるようです。

 ドーデといえば、『風車小屋だより』『月曜物語』で有名です。
『アルルの女』『最後の授業』は、これらの短編集に収録されています。
 このタルタラン三部作も、ドーデの代表作とされています。

 典型的な南仏のほら吹きで陽気な気質であり、ドン・キホーテとサンチョ・パ
ンサの二面性を持ったタルタラン・ド・タラスコンの冒険物語であります。

「ドン・キホーテがいるからといって、フランス人はスペイン人をうらやむことは
ない。フランスにはタルタランがいるのだから」

 スペイン出身ナポレオン3世夫人の言葉です。

 現在入手可能なのは、岩波文庫『アルプスのタルタラン』

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アルプスのタルタラン
著者:アルフォンス・ドーデ / 畠中敏郎
出版社:岩波書店
本体価格:600円

と、デジタル書店グーテンベルク21から出ている電子本
『タルタラン・ド・タラスコンの大冒険』
   (かつて旺文社文庫から出ていたもののようです)
と、朝日出版社から出ている『タルタランの冒険』
   (ピエール・ジュスト 福井 芳男 編注)(朝日出版社、1993年)
のみのようです。
 最後の朝日出版社版のは、どの作品を収録したものか、複数収録したものか分か
りません。
 作者名がドーデとなっていないのも気になります。
 どういったものなのでしょうか。
 或いは、フランス語の副読本のようなものかもしれません。

 ともかく、今回取り上げる本は、タルタランの三部作が一冊で読めるという、お
得な版であります。

 第1話「タルタランのライオン狩り」では、タルタランはフランスの植民地であ
るアルジェリアにライオン狩りの冒険に出かけます。
 第2話「タルタランのアルプス征服」では、タルタランはアルプス冒険に出かけ
ます。
 第3話「タラスコン港」では、タルタランはタラスコンの人々を連れてオセアニ
アの島に移住します。

 第1話では、タルタランは勘違いの連続で、ドン・キホーテばりの滑稽冒険物語
を繰り広げます。
 第2話では、もう一人の主人公とも言える人物が登場します。
 タルタランと同じタラスコン人で、タルタラン以上のほら吹きと言われている
ボンパール君です。
 彼はアルプスの山なんて、観光会社が買い取って大きな遊園地にしている、
と言います。

 氷の割れ目に落ちても
「下んところに、ボーイかだれかがいて、『だんな、お荷物は……。』なんていい
ますよ。」


 雪崩による生き埋め事故は
「ありゃ、会社の宣伝ですよ。つまり、すこしはあぶないことがなければ、お客が
よりつきませんからね。」

 その時の犠牲者は
「ぴんぴんしてますよ。お客もね。六か月ばかり、姿をくらまして、外国にいたん
ですよ。そのくらいの金は、宣伝費と思えば、なんでもありませんからね。」


 タルタランはこの法螺話に騙されて、気が大きくなってユング・フラウ征服に成
功します。
 第2話後半では、あろうことかこのボンバール君と一緒にモンブラン征服に向か
います。
 ベテランの案内人というボンパール君のめっきは剥がれ、失敗ばかりであります。
 ユング・フラウ征服で自信をつけたタルタランがボンパール君をフォローすると
いう、ボンパール君が道化役を引き受けております。

 そして今回3つの作品を読み比べてみて、一番味わい深かったのは第3話『タラ
スコン港』
であります。

 ライオン狩り、アルプス征服によって町の名士となったタルタランは、どこから
か現れたモンス公爵なる人物から、南海の孤島を買い受けます。
 町の人々を引き連れて移住してみると、その島は映画『マタンゴ』を思わせる魔
の島、人が住めるようなところではありませんでした……。

 モンス公爵の詐欺に引っかかってしまったわけでありますが、そこからタルタラ
ンの指導者としての活躍が始まります。
 彼はこの島に残り、何とか人の住める島にすると決意表明します。
 その悲壮な決心に心を動かされた150人が島に残ります。
 タルタランは先発隊を襲った原住民征伐隊を出して仇討ちに成功するなど、立派
にリーダーシップを発揮します。
 ここではタルタランはもはや滑稽な冒険物語の主人公ではなく、悲惨な状況の中
で人々を導く立派な指導者であります。

 結局この島はイギリス領土であり、現れたイギリス軍艦によって一同は故郷に送
り返され、タルタランは詐欺師として裁判にかけられます。
 人々はタルタランを許さず、失望したタルタランは住み慣れたタラスコンを離れ、
異郷で寂しい晩年を過ごすのです。

 前2作が滑稽冒険小説でありますが、この最後の作品はしんみりした内容です。
 しかし最も緊張感あふれる展開であり、指導者としてのタルタランが描かれてお
り、私としては最も面白いと思います。
 小学校時代に読んだ時も、冒険と成功の日々から、失敗と没落、失意による最後
まで描かれているところに人生の不思議さを感じて気に入っていたのだと思います。

 前回、『飛ぶ教室』を持っていると、「飛べへんやろ」と言われたことを書きま
した。
 この同じ子がやはり、『愉快なタルタラン』を持っている私に、
「全然愉快と違う」
と言いました。
 これは、話の内容自体が面白くないという意味なのか、最後の話におけるタルタ
ランの運命が愉快でないからか。
 もし後者の意味だったとしたら、深い感想であります。

 ともかく、長い間もう一度読みたいと思っていた『愉快なタルタラン』を再び読
むことができ、嬉しいひとときでした。

(ドーデのタルタラン・シリーズへの道)
★第1話 タルタランの勘違い滑稽失敗話を純粋に楽しもう。
     モンテ・ネグロの王子なる怪しげな人物も登場。
★第2話 もう一人の主人公たるポンバール君の活躍にも注目。
     冒険家としてのタルタランも実力上昇中。
★第3話 スリルと緊張感あふれるサバイバルストーリー。
     絶望的な状況的の中、人々はどう生き延びるのか。
     タルタランの人間的成長にも気付きたい。


(ヒトはなぜ文学するのか)
●冒険、名声、成功、成長、失敗、批判、没落、失意、最後……。
 一冊の本でこれら全てを知ることができます。
●幼い頃に読んだ本に再び巡り会って再読する。
 何と貴重な経験であろうか。



 ところで、第3話『タラスコン港』一番卑怯なのは、モンス公爵でも、もちろ
タルタランでもない。
 があのような行為をしなければ、タラスコンの町の人々は命を落とすこともな
く、後発隊の人々は無駄な移住をすることもなく、タルタランもあそこまで悲惨な
運命をたどることはなかった。
 私としては、あの男一番許せません
 それは誰なのか……。
 ティールーム(掲示板)に書き込みました。
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 ティールーム(掲示板)では、その他の書き込みも歓迎です。
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   なぜ学読書調査
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アルフォンス・ドーデの「タルタラン・シリーズ」を
(完訳・縮約問わず)読んだことありますか。

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 申し訳ありません。
 幾つかコメントを頂いていたのですが、転載を忘れているうちに
コメントボードの保存期間が過ぎ、貴重なコメントが削除されてしまいました。
 以後このようなことが亡きよう、注意します。

 なお、前回『飛ぶ教室』のアンケート結果を、HPに掲載しました。
 投票・コメントありがとうございました。
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「ヒトはなぜ学問するのか」もよろしくお願いします。
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 ついに努力が報われるというのか。
 SF Kidさん、ありがとうございます。

  (相互紹介)睡眠開発計画

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  に活用する方法 を模索。
   一緒に目標を達成しようというMLも併設。
       http://sfclub.web.infoseek.co.jp/sleepdeveloper.htm

 

 最後に……辛口読者の採点コーナー

 前回、一人の方から合格の投票を頂きました。ありがとうございます。
 さて今回の結果は……。


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 なお、上に申し上げた通り、コメントボードは削除されましたが、記憶の限りでは
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