「少年少女 世界の名作文学」読書ノート
(バックナンバー8)
◆◇◆◇◆◇◆ 「少年少女 世界の名作文学」読書ノート ◇◆◇◆◇◆◇
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第8回配本 兄と妹
2004.05.30
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USO SAKAI(ゆーえすおー さかい)です。
前回、臨時増刊号で、次回の発行は、6月の第2日曜日・13日
と書いたのですが、その間、掲示板にリクエストが寄せられました。
やまなかさんから、『兄と妹』
ルーシーさんから、『ばらとゆびわ』または、思い出の本のタイトルについて。
そのため、まず、やまなかさんからリクエストのあった『兄と妹』のあらすじに
ついて、掲示板にレスをつけるとともに、メルマガを発行することにしました。
そして、次回・6月13日に、『ばらとゆびわ』を配信させて頂きます。
◆◇◆ ◇◆◇ 書誌的事項 ◇◆◇ ◆◇◆
少年少女世界の名作文学(名作文学50巻版)31 ドイツ編5(1966年)
『兄と妹』 マリー・フォン・エーブナー=エッセンバッハ 原作
茅野(しょうしょう) 訳
伊藤佐喜雄 文
松田みのる 絵
少年少女世界の名作(名作55巻版)
29巻(ドイツ編2)、30巻(ドイツ編3)、32巻(ドイツ編5)
には収録されていませんでした。
28巻、31巻、33巻は図書館になかったので不明です。
◆◇◆ ◇◆◇ ◆◇◆ ◇◆◇ ◆◇◆ ◇◆◇
さて、『兄と妹』に関する掲示板での依頼は、以下のようなものです。
レンタルしていた掲示板が突然閉鎖してしまったため、もう見ることができないと思っていたのですが、
http://www.archive.org/index.php
このサイトのおかげにより、見ることができました。こちらに転載しておきます。
【39】 兄と妹の内容 やまなか ( ゲスト ) 2004/05/21 19:22
第31巻 ドイツ編5収載の「兄と妹」のあらすじを、もの凄く簡単で構いませんので、教えて下さいませんか。
不良の兄が、妹のため罪を犯して、収監されるはずなのですが。
もの凄く感動した事のみ記憶にあります。
かなり以前より、思い出す度に、いろいろと検索していたのですが、全く引っかかりませんでした。
しかし、今回、このような場所を見つけました。
申し訳ありませんが、どなたか、お教えいただけたならば、幸いです。
何卒、宜しくお願いいたします。
【40】 Re:兄と妹の内容 USO Sakai ( usosakai ) 2004/05/22
00:23
書き込みありがとうございます。
こういったリクエストは大歓迎であります。
現在、私生活が忙しくてすぐには取り組めませんが、できるだけ早く調査させて頂きます。
結果はこちらに書き込みます。
また、メルマガでは次の発行は6月の第2日曜日だと予告しましたが、ひょっとすればそれまでにこの『兄と妹』を発行するかもしれません。
もちろん、色々な方の意見が出ることも面白いと思います。
次郎さんやMIKAさん始め、この掲示板を見られている方でこの物語を知っておられる方がおられましたら、ご報告お願いします。
やまなか様は、この思い出の作品を色々と検索していたが、全然引っかからないとのこと。
確かに、この全集にしか掲載されていないタイプの物語かもしれません。
50巻もある膨大なこの全集だからこそできる、幅広い収録であります。
ワイドカラー版の55巻版全集は、図書館には部分的にしかなく、こちらには収録されているのかどうか不明です。
『兄と妹』が収録されている名作文学50巻版の31巻には何と、『メトロポリス』が同時収録されております。
戦前、フリッツ・ラング監督の手によって映画化。日本でも公開され、手塚治虫や淀川長治が感動して繰り返し見たというSF大作であります!
『メトロポリス』はワイドカラー版の30巻にも収録されております。いつか、メルマガで紹介させて頂くかもしれません。
(『兄と妹』登場人物)
パーベル……主人公。乱暴者だったが改心して働き、家を建てる。
ミラーダ……パーベルの妹。修道院に入っている。
ビーンスカ……パーベルが預けられた夫婦の実娘。美しいが意地悪。
ハープレヒト先生……パーベルの学校の先生。パーベルを改心させる。
ペーター……村長の息子。
アーノスト……パーベルの同級生。
子ども時代は仲が悪かったが、成長後、親友となる。
(『兄と妹』あらすじ)
パーベルの父親は教会に盗みに入り、牧師を殺したために死罪となり、母親は刑務所に10年入れられることになった。
村の人々は相談し、残された幼いパーベルとミラーダを男爵夫人に育ててもらうよう頼むが、男爵夫人は妹のミラーダだけを育てることを了承した。
パーベルは共同牧場の番人夫婦に預けられることになった。
番人夫婦も娘のビーンスカもパーベルを厄介者扱いするため、パーベルは乱暴者として育っていく。
パーベルがあまりにも乱暴なため、ハープレヒト先生の勧めで、男爵夫人は、妹のミラーダに会わす。
ミラーダは修道院に入っていたのである。
ミラーダは、神様に両親の魂を救ってもらうために祈っているという。
そして、兄さんは母が刑務所から出てきた時のために何をしているかと尋ねる。
妹の忠告を受け入れたパーベルは、学校でハープレヒト先生と一緒に暮らすことを決意する。
そんな時、パーベルは、ビーンスカの母親の使いで、村長に薬を届けるが、村長は急死してしまう。
パーベルに毒殺の疑いがかかるが、死の原因が毒ではなく、自然死だったと分かり、疑いは晴れる。
パーベルは、製材所や砂糖工場などで働く一方、男爵夫人の畑の隣の荒れた土地を買い、土地を耕し始める。
男爵夫人も心を動かされ、隣の畑をパーベルに与える。
全てが順調に向かっていると思われていたそんな時、ミラーダに突然の死が訪れる。
ミラーダの埋葬を済ませ、村に帰ってきた日、パーベルは家の前に母が待っているのを見る――。
(『兄と妹』を読んで)
パーベルは元来、乱暴者ではなかったのですが、養父母やビーンスカに意地悪されているうちに精神がねじけてしまったように描かれております。
性格形成に環境が大事ということが分かります。
それにしても、なぜ、男爵夫人は幼い兄と妹二人とも面倒をみてやらなかったのでしょうか。
土地や財産もたくさん持って悠々自適の生活を送っているのだから、1人といわず2人とも面倒をみてほしいものです。
そのため、兄の方は貧しい意地悪な番人夫婦に預けられ、いばらの道を歩むことになるのです。
……いや、しかし、ミラーダなら、これも神さまが与えた試練だと言うでしょう。
敬虔なクリスチャンであるミラーダは、両親が罪人だからこそ、よい子にならないといけない、そうすれば神さまも魂を救ってくれる、と言うのです。
解説によると、作者のエッセンバッハは、男爵夫人だったそうです。
この物語に出てくる男爵夫人は、作者が投影されているのでしょうか。
安息に幸せに過ごすのが一番いいには違いありません。
試練が来た時にどう考えるかで、その後の展開が変わってくるでしょう。
ハープレヒト先生は、パーベルが事件を起こすたびに現れて、かばってくれます。
“魔法の本”を読んでいたり、道徳運動の会員になったり、不思議な先生であります。
原作では、もっと詳しく描写されているのでしょうか。
ハープレヒト先生はパーベルに、学校に1週間来たら長靴を買ってやる、との約束を守って長靴を買ってくれます。
野生から離れて華奢になった人間の足にとって、靴というのは、本当にないと困るものです。
NHKで2004年の春に放映された水野美紀主演のドラマ『ドリーム』でも、主人公が誘拐犯人から靴をもらうシーンが出てきます。
主人公の女性が未だに誘拐犯人を慕っているのは、靴をくれたからだろう、という会話がありました。
●ドリーム〜90日で1億円〜 NHKよるドラ http://www.nhk.or.jp/drama/archives/dream90/
ビーンスカも、パーベルに試練を与える存在です。
パーベルがハープレヒト先生からもらった長靴を盗んだのは、ビーンスカでした。
ビーンスカは、ペーターに孔雀の羽をプレゼントするために、パーベルをそそのかして男爵夫人の孔雀の羽を取って来させたりします。
また、村長殺しの疑惑が母親に及ばないために、薬を作ったのはパーベルだ、と証言させたりします。
パーベルはこんな意地悪なビーンスカの言うことをいちいち聞いてやったりします。
しかもビーンスカは村一番のおしゃれと言われているペーターが好きなのです。
乱暴者時代ならともかく、改心してからもパーベルはビーンスカに未練があるようです。
妹のミラーダと正反対の性格のビーンスカに惹かれるというのは、不思議な心理です。
これもまた、神さまが与えた試練なのでしょうか。
ミラーダが死んでしまうのは、残念なことです。
母・兄・妹の中で、一番若い妹の死。この死は、どんな意味があるのでしょうか。
確かに、物語としてはインパクトがありますが、必然性はあるのでしょうか。
ともかく、登場回数は少ないですが、この物語では、兄を改心させ、兄の心の支えとなる大きな存在であります。
貧しかったパーベルは一生懸命働き、遂には家を建てるまでになります。
大人になった今、読んでみて、この点が切実であります。
私も一生懸命働いたら、家が持てるでしょうか。
子ども時代に、こういった物語を読んで、勉強意欲や勤労意欲を高めるのもいいかと思います。
ペーターが死んで若くして未亡人になってから、ビーンスカも改心しているようです。
波乱に満ちた前半生を乗り越えたパーベルに、その後、安息の日々が訪れればいいですね。
(兄と妹 への道)
★貧しく、厄介者だったパーベルがいかに成功への道を歩んだか。
★パーベルに対する村人達の反応。自分ならどうするだろうか。
(ヒトはなぜ文学するのか)
●勤勉と努力。試練を乗り越えた所に安息が訪れることを知る。
次回は、6月13日に、『ばらとゆびわ』を配本予定です。
あなたは
まぐまぐより 90人(−1)
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の名作文学について考える少年少女の感性を忘れないヒトのうちの一人です。
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なお、掲示板にて、びいさんが、この作品が偕成社の少女名作シリーズにも収録されていたという情報を
お寄せ下さいました。ありがとうございます。
古本 海ねこ > 少女名作シリーズ
http://www.umi-neko.com/book/shoujomeisaku.htm
のリストで調べると、
弟17巻 『あらしの中の兄妹』 エッシェンバッハ ニ反長半 さし絵・斎藤寿夫
のようです。この全集は、復刊リクエストされているようです。
復刊ドットコム > 少女名作シリーズ (偕成社)
http://www.fukkan.com/fk/VoteDetail?no=17580
OKWaveコミュニティー > 「嵐の中の兄妹(あにいもうと)」という児童書を知りませんか?
http://okwave.jp/qa669156.html
によると、集英社からも出ていたようです。
『あらしの中の兄妹』 訳・柏木ひとみ(柏木瞳子) 絵・岩田宏昌、集英社母と子の名作文学、1970年
この集英社の“母と子の名作文学”シリーズは、集英社の公式サイトには全50巻刊行と書かれていますが、詳細は分かりません。
さらに、マンガ版まで出ていました。
『あらしの中の兄・』
マリア・フォン・エープネル・エッシェンバッハ 岡田和
世界名作コミック 27 ユニコン出版 (B6 ) 1978年11月
マンガ版まで出るとは、かなり著名だったということでしょうか。
この世界名作コミックシリーズにも興味惹かれます。
ユニコン出版とは聞いたことない出版者なのですが、検索すると出版物に関しては色々出てきます。
しかし出版物だけ断片的に出てくるページばかりで、体系的に解説したページには行き着けません。
◇◇◇なぜ学
読書調査◇◇◇
日本人の読書体験を徹底調査!!……とは大袈裟な。
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マリー・フォン・エッセンバッハの『兄と妹』を(完訳・縮訳問わず) 読んだことありますか。
◆ある 2人 3%
◆ない 73人 96%
◆その他(コメントお願いします) 1人 1%
開始日:2004年05月30日/締切日時:2004年06月07日18時
投票数:76票/コメント数:2件
★協力:メールマガジンをおもしろくする『クリックアンケート』
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◆頂いたコメントです。投票・コメントありがとうございました。
No.1 (2004年06月04日00時05分35秒) お名前:なぜ学
メルマガでは、リクエストを頂いたため、エッセンバッハの『兄と妹』をテーマにしました。
この物語については、今回初めて知りました。 ●
ある
No.2 (2004年06月05日07時45分02秒) お名前:ひろき(H.O.)
タイトルも初めて知りました。 ● ない
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かつてあの小学館の全集を読んでいた世代の奮起を期待したのでしたが、やはり圧倒的に
読んだことがない人の方が多いですね。
読んだことあると答えたうちの一人が私で、今回始めて読んだわけですが、あとお一方、
読んだことある方がおられます。
やはり誰かの記憶には残っているものですね。
たった一人の人にでも、大事な思い出になっていれば、その作品はその人にとって名作であります。
そのような作品をも収録しているのが、この全集のすごいところであります。
また、そんな作品も積極的にメルマガで取り上げていきたいと思います。
(追記)掲示板でこの物語に関して交わされた、他のやりとりも保管しておきます。
【41】 Re^2:兄と妹の内容 やまなか ( ゲスト ) 2004/05/24
18:52
突然の私ような者の要望に応えていただけるようで、申し訳ありません。
全くの私の背景がわからないまま、お答えを頂くのも失礼と思いましたので、簡単ながら、私と世界の名作文学との関係を紹介させて頂きます。
私は、四国在住の昭和35年生まれの男子です。
私には一人兄がいまして、その兄が昭和30年生まれで、親がこの兄に対し、世界の名作文学の購読を開始しまして、多分、27冊か28冊配本まで購入したはずです。だから、27冊か28冊の内容しか目にしておりません。
よく読みましたが、全てを読破するという事は考えませんでしたので、一回も読んでない物語がある一方で、好きな物語は10回ぐらい読んだのではないでしょうか。でも当時、その好きな物語が沢山あるから困っちゃう、という気分でしたね。
その後、私は大学進学で家を離れ、四国に来たわけですが、その間に、これらの本は従姉妹に譲ったと聞いています。
大学入学以降、世界の名作文学で読んだ物語を再び読むには、その物語を探さなければならないはめになりました。
まずは岩波の少年文庫とかポプラ社文庫などで簡単に手に入る物語もありましたが、見つけるのに(出会うのに)時間がかかったものもありました。(ほとんどが、熱心に探していたわけでなく、見つければ購入という姿勢)
一番の最近の例は、一年前ぐらいに見つけた「隊長ブーリバ」です。
やや積極的に探したけど、見つからなかったのは、「兄と妹」と「日向が丘の少女」で、後者はノーベル賞作家の作品で、かつて、あれほど、世の中にありふれていた(と感じていた)物語なのに、図書館にもありません。
結局「日向が丘の少女」の入った世界の名作文学そのものを古書店で見つけるまで、読む事が出来ませんでした。
「兄と妹」はインターネットで検索しても、何も引っかからない。
「あんたは一応は名作文学なのでしょ」と言いたくなる。
多分「君よ知るや南の国」の様に、原作名と違う題名になっているのではないかと、予想しているのですが。
何でも、インターネットでは世界の名作文学の購入が簡単なんだそうですね(笑)
宇都宮在住の兄と会うのは正月ぐらいですが、先日この兄と、もちを焼いている時、「ボートの三人男」のある場面を思い浮かべる状況になりました。
そのことを兄に伝えると、兄も同じ場面を思い浮かべていたのだそうです。
帰ってから、早速、丸谷才一訳の「ボートの三人男」を兄に送りました。
以上、拙い話で申し訳ありませんでした。
【42】 Re^3:兄と妹の内容 USO Sakai ( usosakai ) 2004/05/25
22:00
こういった読書歴の話、面白いですね。
> よく読みましたが、全てを読破するという事は考えませんでしたので、
> 一回も読んでない物語がある一方で、好きな物語は
> 10回ぐらい読んだのではないでしょうか。でも当時
> 、その好きな物語が沢山あるから困っちゃう、とい
> う気分でしたね。
完璧主義は却って失敗するようです。
私などは、全集などがあると、一巻目の最初から順に読まないといけない……と強迫的に思ってしまうタイプでした。
この性格が却って自分に枷をはめ、本を読む機会を逸する原因になった気がします。
少年探偵団もホームズもルパンも、完訳版で第1巻から執筆順に読まなければならない、と思っている間に時は移り行き、
とうとう読む機会を逸してしまいました。
そういう意味で、この全集の正しい読み方は、気が向いた作品をつまみ食いすることでしょう。
> 大学入学以降、世界の名作文学で読んだ物語を再び
> 読むには、その物語を探さなければならないはめになりました。
50巻版や55巻版の収録作品を見てみると、こんな作品まで!と驚くことがよくあります。
> やや積極的に探したけど、見つからなかったのは、「兄と妹」と「日向が丘の少女」で、後者はノーベ
> ル賞作家の作品で、かつて、あれほど、世の中にあ りふれていた(と感じていた)物語なのに、図書館にもありません。
> 結局「日向が丘の少女」の入った世界の名作文学そのものを古書店で見つけるまで、読む事が出来ませんでした。
「日向が丘の少女」は、読んだことありません。
以前、NHKの「朗読の時間」が、FMで放送されていた時、タイマー録音して聞いていたことがあります。
その時に、「シンネーべ・ソルバッケン」という長い物語がかなり長く放映されていた記憶があります。
多分、これが「日向が丘の少女」ではないでしょうか。
朗読される方の静かな朗読の調子が今でも思い出されます。
こんな調子で朗読しているから、きっと『嵐が丘』のような悲劇的な結末を迎えるだろう、と思っていたら、
意外とハッピーエンドに終わったのでホッとしたことを覚えております。
日常生活をしていて共に同じ文学作品を思い出す瞬間があったとは、面白い出来事ですね。
ちょっとしたエッセイのテーマとなりそうです。
「ボートの三人男」については、たまたま、この全集を借りた時に読んだことがあります。
どこかで読んだことあるぞ、と思っていたら、大学受験の際、英語の受験勉強をしていた時、何かの例文として読んだものでした。大学受験によく出る作品だったようです。
大学受験にかかわらず、この作品は、昔は結構有名な作品だったようですね。少し前までスタンダードだった文学作品がどんどん忘れられていっております。
【50】 『兄と妹』本日配信しました USO Sakai ( usosakai ) 2004/05/30
22:09
本日、メルマガで配信しました。
当時、このようなストーリーは結構あったように思います。
しかし、飽食に慣れた現在、あまり見られなくなったように思います。
長引く不況の今、そして物語から我慢や努力というテーマが忘れられたようになっている今、こういった物語が見直されてもいいと思います。
【53】 Re:『兄と妹』本日配信しました やまなか ( ゲスト ) 2004/06/01 17:54
管理人様
大変詳しくお教え頂きありがとうございます。
おかげ様で、思い出しました。思い出しました。
「安息の日々」とは、上手い表現ですね。
確かに最後は、希望の光の見出せる平安な終わり方だった記憶がありました。
そのことが、ずっと「知りたい」という気持ちを持った一番の原因のような気がします。
誰かが収監されていた記憶はあったのです。
私は、当然、不良の兄が収監されていたものだと思い込んでいました。
だから最後には、兄と妹が離れ離れになるのだけれど、でも、そこに何故か安息の日々が訪れるのです。
これがどうしてなのか全く見当がつかなかった。
一方、妹が死んだ記憶は全く無くなっていました。
それどころか、最後に妹が自分たちの小屋の前で一人佇んでいたイメージさえもあったのです。
(そんな挿絵もあったという記憶も。何かの建物の前にいる絵です。)
でも、これは後から思い出そうとする中で付け加えられた間違いの記憶だったのですね。
> この全集にしか掲載されていないタイプの物語かもしれません。
私は名作文学に収載されている物語は全て、ある程度は人口に膾炙されていたはずだと思います。
そしてきっと、時代の淘汰をうける物語と受けない物語があるのですね。
私にとって、見つけ難かった「兄と妹」と「日向が丘の少女」は、その「時代の淘汰」を受けたものだと私は思います。
「日向が丘の少女」(原題シンネーベ・ソルバッケン、(少女の本名))なんて、昔の子供用の全集には、必ず入っていたイメージがあるぐらいなのに。
今回、ちょっと驚いたのですが、あらすじ一読しただけでも、この2つの物語には共通する点が多いようです。
ざっと挙げても、
1.主人公が農家の息子
2.主人公は乱暴者だったが改心する
3.宗教色の強い物語
4.勤勉と努力を尊ぶ
先日、久しぶりに読んだ「日向が丘の少女」では、まず、その宗教色の強さに驚きましたが、きっと、そんな点が、淘汰された原因なのでしょう。
(もっとも、最近は純愛ブームですので、その流れで「日向が丘の少女」は再評価されないかなと、ちょっと期待するぞ。)
ついでに淘汰ということで、思い出した事を記載させてもらいます。
少年少女世界の名作文学でこれも好きだった「クオレ」を、先日(といっても大分前)、岩波少年文庫で再読した時、かなりの違和感を受けて驚きました。
まず、いやというばかりの「愛国心」が前面に押し出されています。
イタリアの統一直後の話ですので、これは、当然の事かもしれません。
しかし、何と表現すればいいのか、あからさまな身分とか差別とかが当然の事として扱われていて、
これを、「正しい」「豊かな」庶民の立場から、「憐れむべき」「施しを与えるべき」などと述べられている。
流石に何か、時代と感覚が違いすぎるなあと感じました。
「クオレ」の中の一挿話である「アペニン山脈からアンデス山脈まで(母を訪ねて3千里)」は、きっと後世まで残るのでしょうが、
この大元の「クオレ」自体も、だんだんと淘汰を受けていくような気がしました。
ということで管理人様、今回は本当にありがとうございました。
今後の更なるご活躍を期待しております。
【54】 Re^2:『兄と妹』本日配信しました USO Sakai ( usosakai )
2004/06/01 23:21
> 一方、妹が死んだ記憶は全く無くなっていました。
幼い頃の記憶が違っていたということは結構あるようです。
だからこそ、幼い頃に読んだ本を読み返すというのも、意味のある経験なのでしょう。
> それどころか、最後に妹が自分たちの小屋の前で一人佇んでいたイメージさえもあったのです。
> (そんな挿絵もあったという記憶も。何かの建物の前にいる絵です。)
> でも、これは後から思い出そうとする中で付け加え られた間違いの記憶だったのですね。
いや、実は最後のページで、その挿絵があります。
小屋の前の木の下で佇んでいるのは母親です。
クロッキーというか、線で描かれた挿し絵で、顔は影になっていてよく分かりませんが、こちらを向いているようです。
その人影に向かって、左手を振って走っていくパーベルの後ろ姿が描かれております。
母親のシルエットは若々しく描かれているので、記憶の上で妹に変容してもおかしくありません。
挿絵も思い出になるもので、結構覚えているものです。懐かしい挿絵に再会すると、嬉しく感じるものであります。
> 私は名作文学に収載されている物語は全て、ある程度は人口に膾炙されていたはずだと思います。
そうかもしれません。
> そしてきっと、時代の淘汰をうける物語と受けない物語があるのですね。
ここは「淘汰」というより、「忘れられている」と言いたいところです。何かきっかけがあれば、思い出され、再評価されるかもしれません。
> 1.主人公が農家の息子
> 2.主人公は乱暴者だったが改心する
> 3.宗教色の強い物語
> 4.勤勉と努力を尊ぶ
こういった発見は面白いものです。
そして話の方向としては、3と4から導かれるように、困難に打ち勝って正しい道で成功する、という方向性を持っております。
『ジャン・クリストフ』なんかもそうですね。
一方、最近の小説、特にエンターティンメント系の物語は、逆に、悪の道に入って行くところまで行く、というようなストーリー展開が多いような気がします。
時代は悪の物語を求め、悪の物語が受けるのでしょうか。
今の時代こそ人間の理性と平和を描いた物語が必要です。
……とこんなことを書くと、PTA的だとか悪書追放運動の手先だとか言われそうですが。私は悪書追放運動やら検閲やらには反対です。
> (もっとも、最近は純愛ブームですので、 その流れで「日向が丘の少女」は再評価されないか
> なと、ちょっと期待するぞ。)
現代風にアレンジすれば、結構人気が出るのではないでしょうか。
三島由紀夫の『潮騒』などと似たようなストーリー展開で、結構普遍的なものを持っているのではないでしょうか。
『クオレ』については、私も中学時代に読んで非常に感激・感動したことがあります。
『難破船』については、『まんが世界昔ばなし』で見て、衝撃を受けて今でも覚えております。
しかしやまなか様がおっしゃるように、今思えば、ちょっと暑苦しい部分があるように思えます。
個人の成長により、或いは時代の経過により、物語に対する感じ方が変わってくるというのは、面白いことです。
少年少女時代の読書は貴重だといえます。将来読み直して自分の成長・変化を知ることができるからです。
かつての少年少女たちに。
あの時の愛読書をもう一度読み返しましょう。
【58】 少女名作シリーズ びい ( ゲスト ) 2004/06/10 22:48
偕成社から出ていた少女名作シリーズにも収録されていた記憶があります。このシリーズもよいものでした。
【59】 Re:少女名作シリーズ USO Sakai ( usosakai ) 2004/06/11 00:54
> 偕成社から出ていた少女名作シリーズにも収録され
> ていた記憶があります。このシリーズもよいものでした。
これは情報ありがとうございます。(偕成社の少女名作シリーズについて、このページの上の方で紹介しました。)
やまなかさんが仰っていたように、やはりある程度浸透していた物語だったのですね。
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