ヒトはなぜ学問するのか

(バックナンバー 2)

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     第2号 本当に役に立つ高校理数(2)
     〜〜三角関数は本当に役に立つ〜〜

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 こんにちは。USO SAKAIです。

 先週は休ませて頂いたので、配信2回目を迎えます。

 今回、「本当に役に立つ高校理数」の第2回として、三角関数について
考えてみます。

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       本当に役に立つ高校理数(2)
     〜〜三角関数は本当に役に立つ〜〜

     1 三角関数と電気の密接な関係!
   2 sinのグラフとcosのグラフはそっくりさん
       3 協力の度合い(割合)―力率
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1 三角関数と電気の密接な関係!

 電験3種の1995(平成7)年「理論」科目の問7に、このような問題が出題
されています。

………………………………………………………………
問)電圧v=√2Vsinωt[V] をある負荷に加えたとき、
  電流i=√2Icos(ωt−π/3)[A]が流れた。
  この負荷の力率[%]はいくらか。

1)50(遅れ) 2)50(進み) 3)70.7(遅れ)
4)86.6(遅れ) 5)86.6(進み)
………………………………………………………………

 数式をテキスト文書で表すのは難しい。
 今後も見苦しい部分もあるかと思いますが、そこはご容赦下さい。

 さて、メルマガ第1号でも触れましたが、電験の理論科目では、電圧と電流につ
いて問う問題が多く、この問題もそのタイプの問題です。

 そして、電圧や電流は、三角関数で表すことができるのです。
 三角関数と電気の密接な関係!

 私が生まれる前、「サインコサイン何になる」という歌があったそうです。
 三角関数は何の役に立つのか、と槍玉に挙げられることが多いですが、我々の生活
に欠かせない電気は、三角関数の知識がなくては理解できないのです。


2 sinのグラフとcosのグラフはそっくりさん

 さて、回路に電圧をかけますと、電流が流れます。
 先ほど申しましたように、電圧も電流も三角関数、具体的にはsinやcosで
表せます。

 中学や高校で習ったsinやcosのグラフを思い出して下さい。最大値と最小
値の間を周期的に変化する、波のようなグラフでしたね。
 本問題で与えられた式もsinとcosの式だから、あのような波の形になるは
ずです。

 そして変数tの前のω、これが周期でしたね。
 電圧も電流もともに周期が同じωです。ついでに最大値√2も同じですから、形
としてはそっくりさんなわけです。
 全く同じか、ずらせば重なる相似のグラフとなるはずです。
 

3 協力の度合い(割合)―力率

 電圧と電流の積を「電力」といいます。

 人間が協力する場合でも、力をなるべく一つに合わせる方が効率がいいですね。
 電圧と電流も、周期の中での位置、すなわち位相の差が小さい方が効率よく電力
を得られるわけです。
 そこで、電圧のベクトルをX軸の正方向にとってみます。

 さらに電流のベクトルを、原点を始点として大きさや方向(位相差θ)を考慮し
て書き入れます。
 中学や高校で習ったように、進み角は反時計回り、遅れ角は時計回りですね。
 
 このとき、電流ベクトルの、電圧ベクトルと同じ方向への成分は、X軸への射影
すなわちcosθをかけたもので表せます。

 よって、負荷の力率(割合)は、電圧と電流の位相差をθとすると、

     cosθで表せるのです!

 当然、電圧と電流のベクトルの向きが同じだとcos0=1となって、最も効率が
いいわけです。


4 問題を解く

 以上のことを踏まえて、問題を解いてみます。
 sinとcosで表されているので、ここは一つに統一した方がいい。
 そこで、電流の方も、sinで表すように変形してみます。
 ここで、高校で習う、次のような変形式が必要になってきます。

    sin(π/2±θ)=cosθ

 では、この変型式を使って、cosで表された電流の式をsinに直してみます。

  cos(ωt−π/3)=sin(π/2+(ωt−π/3)
             =sin(ωt+π/6)

     (つまり、(ωt−π/3)をθとみるのです。)

 よって、
   電流i=√2Icos(ωt−π/3)
      =√2Isin(ωt+π/6)[A]
 となり、
   電圧v=√2Vsinωt[V] と比べて、
  π/6 だけ位相が進んでいる。

 よって、この回路の力率は
       cosπ/6=√3/2=0.866

 よって、答は(5)となります。

 
 この問題、よく見ると、電気という物理現象を表しています。
 数学は、単なる数式のお遊びではなく、自然界の現象を記述するものだという例
でもあります。

 今回の問題、説明が下手なこともあり全部分からないこともあるかもしれません。
 全部分からなくてもいいので、イメージだけつかんで下さい。

 高校の数学の授業で三角関数を習うと、公式がズラズラと出てきて、こんなの全
部覚えるのか、と愕然とします。
 しかし、上の問題のように、変形をして簡単にすることで、性質の検討や比較
よりやりやすくなる、という利点があるのです。
 あると非常に便利、いや、必要だからこそあのように公式がたくさんあるわけで
す。

 無理に一度に覚えることもなく、そういうようなことを頭に入れ、公式の必要性
や意義を思い出しながら公式を眺め、必要な時に思い出し、使えるようにしていけ
ばいいのではないでしょうか。

 いや〜、三角関数って、役に立ちますねえ。
 ヒトはなぜ学問するのか。今後も一緒に考えていきましょう。

  



 


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