ヒトはなぜ学問するのか

(バックナンバー 5)

∞∞∞∞∞∞∞∞ ヒトはなぜ学問するのか ∞∞∞∞∞∞∞∞
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     第5号 本当に役に立つ高校理数(3)

     〜〜行列・一次変換の復讐〜〜
                      2003.10.19

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  こんにちは。USO SAKAIです。
  今回、私の個人的な“復讐”をお送りします。


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       本当に役に立つ高校理数(3)
     〜〜図解雑学 行列・ベクトル〜〜
      佐藤敏明・著 ナツメ社 2003年9月
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行列・ベクトル図解雑学 行列・ベクトル図解雑学

著者:佐藤敏明
出版社:ナツメ社
本体価格:1,350円


 私には、どうしても高校数学への復讐が必要だった。
 全く歯が立たずにいじめられ続けた行列・一次変換に対して。
 今回のターゲットを、この憎き行列・一次変換に設定して、書店の高校数学参
考書コーナーに向かったのだった。

 しかし、最近の高校数学の編成は、一体どうなってしまったのでしょうか。
 数学A、B、C数学T、U、Vになっています。
 内容も色々な分野がごたまぜになっていて、何の基準で分けているのか理解に
苦しみます。
 私らの頃は、内容ごとに、代数幾何基礎解析確率統計微分積分及び、そ
れらの入門的な数学Tという編成でした。
 ううむ、懐かしくもあり思い出したくもない響きだ。

 その中の代数幾何の中に、行列一次変換という単元があり、これには苦しめ
られました。
 計算が中心なので、その辺は機械的に問題を解けて楽だったのですが、その
味するところが分からず、理解に苦しんだものです。
 なぜそうするのか、どんな意味合いがあるのか、というところが理解できず、
機械的に問題が解けても、理解した気になれませんでした。
 特に、一次変換については全く理解の範囲を超えていました。

 今回、高校向け数学参考書を調べて分かりました。
 目指す宿敵・一次変換高校数学から消えており、かろうじて行列だけが残っ
ておりました。

 科学は年々進歩しているというのに、高校数学で習う範囲は減っているという
のか。
 大丈夫なんでしょうか、技術立国・日本の未来は。

 ともかく、『図解雑学 行列・ベクトル』において、憎き高校数学への復讐を
開始。

「はじめに」には、こう書かれています。

「行列やベクトルは、複数の変量を扱うには必要不可欠な道具であり、行列やベ
クトルなくしては自然界の解明、社会現象の分析、
ビジネスでの成功は望めない
ほどである。」


 おおっ、そんなにすごいものだったのか。単なる計算だけではなかったのか。

 本書では基礎からかなり詳しく説明されています。例をあげて説明されている
ので分かりやすい。

(例題)
 文房具店で、太郎君は、ボールペンを3本、修正液を2個買って950円払った。
         花子さんは、ボールペンを4本、修正液を1個買って850円払った。
 ボールペン、修正液の値段はそれぞれいくらか。


 鶴や亀の脚こそ出てきませんが、本質的には鶴亀算です。
 鶴亀算には連立方程式、と、ボールペンをx円、修正液をy円と置いて立てて
みます。

 3x+2y=950
 4x+y=850

 もちろんここで代数的に、連立方程式を解くこともできます。
 しかし、ここからが行列の活躍です。
 行列を使って解くことができるのです。

 ここで、数だけを抜き出したものを行列とします。
 (カッコが見苦しいですが、ご容赦下さい)

  3 2       950
 {   }  {   }
  4 1 や  850 が行列です。

 そこで、上の連立方程式を行列で表すと、以下のようになります。
 
  3 2  x      950
 {   }{ }={   }
  4 1  y      850 

 これが、行列の掛け算の基本だというのです。
 私は、行列の掛け算が、なぜあんな風に変な順番にするのか理解できま
せんでしたが、そもそもこのように定義されていたのです。

 ノートと鉛筆を幾つ買っていくら払うかなんて、小学校の算数のようですが、
こういったイメージは大切です。
 こういったちょっとした具体的な例があれば、かなり分かりやすくなります。

 なお、上の連立方程式の解は、 
  3 2 
 {   }
  4 1  の逆行列を両辺に左からかけて、

  150
 {   }
  250  と出ます。

 私が高校の時、行列の計算でなぜ連立方程式の解が出るのか分かりませんでし
たが、そもそもそういう定義だったのです。

 行列を使って、もっと未知数の多い方程式も解けます。この辺が、行列が役に
立つところでしょう。

 当たり前のことをくどくどと述べてきました。
 知っている人には、当然のことでしょう。
 しかし、私にとっては、長年の胸のつかえがおりたような発見だったので、改
めて紹介させて頂きました。

 ベクトルと直線、半直線の違いも詳しく説明されていました。
 ベクトルなんて、方向と大きさを持ったもので、矢印で表されるもの、と簡単
に思えるものですが、改めて基礎から説明されると、よくできた概念だと納得で
きます。
 こういったことを本当に理解して使いこなせるのが、本当の「数学的思考」
しょう。

 内積外積の概念も、詳しく説明されています。これらはもともと、物理学で
必要だから考え出された概念だったそうです。
 そういった歴史的背景意義付けも、大事なことだと思います。

 その後、行列式一次変換固有値、そしてその応用と話は続いていきます。

 高校時代には理解できなかった意味付けが、ようやく分かったような気がしま
す。

 数学は単なる計算ではなく、ちゃんとした意味があるのです。

 ヒトはなぜ学問するのか。
 意味も分からずにひたすら計算をするのが学問ではない。
 本質的な意味を理解し、活用できるようにすることが、
 本当の「数学」であり、「学問」だと思います。


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