ヒトはなぜ学問するのか

(バックナンバー 3)

∞∞∞∞∞∞ ヒトはなぜ学問するのか ∞∞∞∞∞∞
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  第3号 学問を考える(1)
  〜〜ヘボン式か訓令式か〜〜
                          2003.09.28

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  こんにちは。USO SAKAIです。
  今回から、まぐまぐさんに加えて、パブジーンさんとメルマガ天国さんからも配
 信させて頂きます。
  今回、突発的に新しいコーナー“学問を考える”を誕生させました。
  テーマはローマ字の書き方です。

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       学問を考える(1)
     〜〜ヘボン式か訓令式か〜〜

  1 小学国語と中学英語の間の大きな断絶
       2 ヘボン式導入論
       3 訓令式の反論
      4 対立ではなく協力
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 1 小学国語と中学英語の間の大きな断絶

  私が始めてローマ字を習ったのは、小学4年くらいのときでしょうか。
  国語の授業で習いました。
  この時に習ったのは、いわゆる訓令式、例えばタ行をTA TI TU……と表
  す方式です。
  小学6年の頃、中学からの英語授業に備えて、公文式英語を習いました。
  その時、ローマ字もやったのですが、この時のローマ字はいわゆるヘボン式でし
  た。
  例えば、タ行をTA CHI TSU……と表す方式です。
  国語の授業で習ったのと違うじゃないか、と戸惑いながらも、やはり塾のレベル
  は高い、やはり学校の授業だけではダメなんじゃないか、と勝手なことを想像しな
  がら、ヘボン式独特の表記を必死で覚えたものです。

  ところが、中学に入って英語の授業が始まると、ローマ字表記が何の説明もなく
 ヘボン式になっていました。
  自分の名前をローマ字で書く時、誰かが訓令式で書くと、先生が、
  「それは間違い」
  と何の説明もなくヘボン式に訂正しました。これ、ひどいんじゃないの?

  私は公文式でヘボン式を知っていたからいいものの、もし公文式をやってなかっ
  たらと思うとゾッとします。
   小学国語での訓令式、中学英語でのヘボン式との間には、義務教育だけ受けてい
 る子どもたちにとっての大きな断絶があります。


 2 ヘボン式導入論

  何で上のようなことを思い出したかというと、朝日新聞9月6日に、
 「ローマ字学習 ヘボン式を導入しよう」
  という、中学の英語の先生の投書が載っていたからです。
  乱暴に要点をまとめると、次のようになります。

 1 文字と音との関係(フォニックス)が分かる
  2 町の中のローマ字表記は、ヘボン式
  3 ヘボン式は英語表記に近く、英語学習の第一歩となる


  公文式英語、そして中学英語のヘボン式登場に衝撃を受けた私も、その後、上の
  1と2の理由から、ヘボン式派となり、普段ローマ字を使う時には、専らヘボン式
 を使うよう心がけていました。
  その意味では、この投書には大いに賛成したものです。



3 訓令式の反論

  ところが、9月20日に、
 「ローマ字 国語理解に訓令式が有効」
  という、小学校の国語の先生の反論が掲載されました。
  また乱暴に要点をまとめてみます。

 1 小学校でのローマ字学習は日本語学習の一環
  2 日本語の音節構造に適しており、子音と母音の関係が分かる
  3 例外がいくつもあるヘボン式を最初に教えると混乱する
  4 ローマ字が表す言語は英語ではなく日本語であり、英語教育優先の観点には与
  しない
  5 日本語学習の一環としてローマ字学習に力を入れることが結果として中学での
   英語学習の基礎を築く


  これも説得力ある意見です。
  確かに英語は大事ですが、英語を意識するあまり日本語をおろそかにしてはいけ
  ない
、という自戒も必要です。
 

 4 対立ではなく協力

  それで結局、どうなんでしょう。
   どちらかが正しくてどちらかが間違っているというような二者択一の問題ではあ
  りますまい。
 

  確かに小学生にヘボン式を教えるのは混乱するかもしれませんが、中学では改め
  てどちらもきっちりと教えてほしいですね。
   私が経験したように、いきなり説明なしにヘボン式を使わせるというのではなく、
 小学校では訓令式しか習っていないという認識を持つことが必要です。
  TIやTUはCHIやTSUとも書ける、これはどちらでもいい、と、答に幅を
 持たせて欲しいですね。
   こっちが簡単そうだからこっちで覚える、とか、いや僕はあえてこちらで覚える、
  とかいう選択は生徒に任せるべきです。

   これはローマ字の表記に限ったことではないでしょう。
  学問とは、一つの学説を押し付けるのではなく自分なりに考える判断力を身に
 つけるためのものではないでしょうか。
   そういった学問本来のあるべき姿勢を貫きながらも、現実に行われる受験との折
  り合いもつけていこう、という姿勢、これは強さとショー的要素をともに追求していこう
  というプロレスの姿勢につながります。

   ともかく、ローマ字表記については、小学国語の立場も中学英語の立場も、どち
  らももっともな主張ですから、お互いが相手の立場を尊重して知った上で、断絶を
  なくしてスムーズに移行できる体制を整えて欲しいです。


  今回これを書くに当たって、検索サイトでローマ字について色々検索してみまし
  た。本当に色々なサイトがあります。
   文部省は訓令式、外務省はヘボン式といった分類もありました。パスポートや道
  路標識はヘボン式だそうです。
   あるサイトには、ヘボン式の子音表記は英語に密接に関わるが、他のヨーロッパ
  言語とはかけ離れるので、グローバル化にはかえって訓令式がいい、という興味深
  い指摘もありました。
  ローマ字の歴史についてのサイトでは、日本式という単語も出てきました。
  関心のある方は、色々検索してみて下さい。
  とりあえず、インフォシーク国語辞典
      http://jiten.www.infoseek.co.jp/Kokugo?pg=jiten_ktop.html&col=KO
  で 「ヘボン式」 「訓令式」 「にほんしき-ローマじつづり
  を引けば、各方式の概略が分かります。
  ヘボン式に対抗して田中館愛橘が提唱した方式が日本式で、両方式を折衷して
  1937年(昭和12)に内閣訓令として公布されたのが訓令式だそうです。
 

 

  今回、ローマ字教育について思うところを述べてみました。

  新たに掲示板を設けてみました。

       http://www.startingweb.com/bbs.cgi?job=bbsidx&bbsid=5492

  ご意見ご感想がありましたら、お寄せ下さい。

  一緒に学問について考えていきましょう。

 




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